特集! ロケ地:パラオ

 
第2章 パラオに到着


ラオについていろいろ判ったようなことを書きましたが、実際にはパラオのことはネットで調べる程度の知識で出かけました。というのも市内のありとあらゆる本屋を探してもパラオに関するガイドブックがなく、店員さんに検索してもらっても見つからないのです。何でも「地球の歩き方リゾート パラオ」というのがあるそうですが在庫がなく、絶版になっているようで、Amazon等で取り寄せるとえらく高いのです。帰国後、「月間ダイバー」でパラオ特集をやっていたので購入しましたが、これがもうひと月早く発行されていれば・・・。

◇ JO8895便 BOEING 767-300機内にて ◇

をパラオ旅行に戻しましょう。しばらくすると天井から、にゅうっと液晶画面が降りてきました。そして機内安全設備の説明ビデオを終えると、またにゅうっと音もなく吸い込まれていきました。さて、今回は先日沖縄に行った際に録音してきた現地情報の、いわゆるテープ起こしをパラオに行く前に済ませようと思います。しかしベルト着用のランプが消えないとテーブルを出せないので、仕事ができません。ようやく「本日は我々8人のクルーで運行します」とのアナウンスととともにベルト着用サインが消えると、前方スクリーンでNHKニュースが始まりました。インドの事件とかタイでの騒動とか、いずれも世の中あまり明るいニュースはなさそうです。


まもなく客室乗務員がスナック菓子と飲み物を配りに来ました。ビール下さいというと、何故かエビスビール、なぜにエビスビール?後に現地パラオでは、いたるところにアサヒスーパードライとエビスビールがありましたが、とにかく普段発泡酒とか「その他の雑酒」などというものを飲んでいる身にはとてもありがたい。さて、そろそろ仕事しようかなと思っていると、今度は肉だんご定食のような機内食がでてきました。さっき空港で食べたばかりなのでもう入らん、と言いつつ赤ワインとともに完食。やはり海外に行くと太ってしまう・・・。よーし、今度こそ仕事するぞ、と思ったらお次は入国カードを配りに来ました。せっせと入国カードを書いていると、すでに10時半。機内は比較的空いているので、空いている席に移り、灯りをつけて1時間半くらいでテープ起こしを完了しました。すると早くも到着30分前のアナウンスです。ベルト着用サインが点き、部屋が暗くなって着陸態勢に入ります。暗くて見えないけど、「ういーん」という翼面積を拡げる音が聞こえ、前方スクリーンには「きらきらっ」とライトの点滅する滑走路が寂しげに映っています。機は間もなく、ごとんと地面に降り立ち、もの凄い逆噴射とともに午前0時36分、パラオ国際空港(バベルダオブ空港)に到着しました。


◇ パラオ国際空港に到着 ◇

ムーズに到着ゲートに着くと、今までの人生で最短じゃないかと思われる10秒前後で飛行機を降りました。もわっとする湿気と暖かい空気に包まれ、タラップから直接滑走路に降りると、歩いて旅客ターミナルビルへ向かいます。1984年に造られた旧ターミナルビルは、2階部分のひび割れやコンクリートの剥離など老朽化が進んだため、2003年にRC造一部2階建の新規ターミナルビルが建設されました。この時は日本政府が無償の資金援助を行い、最近時々新聞に出ている西松建設が施工したのだそうです。さて、さっそく入国審査です。映画「ダイ・ハード」に出てきたパウエル巡査部長似の大柄ヒゲ男が、「オレ心底この仕事イヤなんだよな・・」というような態度でガチャンとスタンプを押し、無言のまま「次の奴」と言わんばかりにアゴをしゃくっています。ま、このあたりはどこの国でも同じようです。次にコンベアで荷物を受け取り、申告書を持って税関に並びます。


「オ肉ヤ果物持ッテマスカ?」「ノー」「オ酒ヤ煙草持ッテマスカ?」「ノー」といった感じで、お互いの母国語が逆転したような奇妙な会話で税関をパス。あ、でもお酒は持っていたっけ・・。空港には現地でお世話になる、ベラウツアーの方々が迎えに来ていました。ここで名前を告げて荷物を預け、「Hinomaru」と書かれたバスに乗り込みます。JALセールス九州の I 江さん率いる我ら6人組はパレイシアホテル・パラオに、JALセールス九州の社員の方々計7名はウエストプラザ・バイ・ザ・シーに宿泊ということで、まずはホテルのあるコロール島中心部へ向けて出発です。


◇ パラオの夜道と西松建設 ◇

ラウツアーのアシスタントマネージャーであるタダさんより、現地日程などの説明を受けながらバスは走ります。コロール島に向かう道は街灯もなく、「いったいどこへ連れて行かれるのだろう?」という雰囲気。それでも「皆さんは運が良いのです」といいます。なぜなら、つい最近までパラオの道はでこぼこで、雨が降るとすぐ冠水してしまうような、ひどいものだったのだそうです。何しろもとは70年も前の、日本による委任統治時代に造られたのだから無理もありません。そこで「首都圏基幹道路改修計画」なるものが策定され、日本のODA(政府開発援助)により工事が行われました。これはバベルダオブ島、コロール島、マラカル島、アラカベサン島を結ぶ約12.5kmに及ぶ大規模な改修・整備工事で、工事を担当したのも空港と同じ西松建設。・・というわけでパラオではこの西松建設と、崩壊したKBブリッジ(コロール島とバベルダオブ島を結ぶ橋:Koror - Babeldaob Bridge)を見事に再建した鹿島建設は、知らぬ人がいないくらいの有名企業になっています

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