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☆ しまとく日記~「壱岐でうまかもんば食べてみんね!」の巻(後編) ☆

朝から数えて3回目のビールで乾杯し、さっそくエビやトコブシ、アラカブの煮付けにサザエのつぼ焼きなどに舌つづみを打っていると、「どどーん」という感じで豪華伊勢エビつきの板盛りが2つ運ばれてきて、皆の歓声が上がります。

むこうのテーブルに運ばれてきた板盛りに乗る、いかにもハタ科の魚はアラ(クエ)でしょうか、アオナ(アオハタ)でしょうか。いずれにせよ高級魚なので、自分には普段縁がなくて判別不能。


そしてこちらのテーブルに来たのは、おおっ!これは先ほどいけすで泳いでいた人なつっこいイシガキダイ君?いや、一見似ているけど近縁のイシダイでした。イシガキダイと並んで、「磯の王者」とか「幻の魚」などの二つ名を持つ高級魚です。彼らはまた頭の良いことでも知られていて、全国あちこちの水族館で芸を披露しています。

刺身はどちらの板盛りにも均等に乗せられており、魚のほかにもウニやアワビ、イカなどが惜しげもなく使われています。特に伊勢エビの背にぎっしりと詰められた、真っ白な身の部分はまさに絶品。刺身は少し取っておいてヅケ(醤油漬け)にし、後ほどご飯に乗せてお茶漬けにして食べました。



さて、宴会はお腹が満ちてお酒が回ってくるに従い、かなりおカタい話題になってきました。例えば「壱岐島における観光産業の現況及び行政の問題点」だとか、「しまとく通貨(※)導入の是非と経済波及効果への検証」といったような内容が熱く語られ、ここには書けないような話も含め、議論がスルドク切り結ばれていきます。

ところがいつしか飲み屋の話が出てきたかと思うと、男と女の話になり、その後なし崩し的に下ネタ全開状態に・・・。宿のおかみさんが途中から加わるとさらにパワーアップして、大盛り上がりの宴となりました。

※しまとく通貨:壱岐、対馬、五島、小値賀、宇久の各島で共通して使える地域通貨(商品券)で、1セット6,000円のしまとく通貨を5,000円で販売しています。各島では加盟店で、おみやげの購入や食事に使うことができます。


その後、元気な人は外に飲みに行き、ダンナ河野は明日の釣行に備え、早々に切り上げました。岩風呂へ行くと、時間が早かったので貸切状態です、気持ちの良いお湯につかってゆっくり手足を伸ばし、部屋に戻って爆睡しました。

翌朝、まだ夜も明けやらぬ午前5時に起床し、近くの七湊漁港に出かけました。でも本当は筒城浜の先にある、外波戸というところが良いらしい(後で知った)。道々海をのぞいてみるとかなり透明度が高く、しかし透明度が高いというのはダイビングには良くても、釣りだと相手の魚にもこちらが見えているということで、あまり条件的には良いとはいえません。


そのうちニョーボ河野も合流、貸し竿のオキアミ仕掛けでベラが釣れたので、「外してー!」と騒いでいます。ベラはそれほど好きではないので、そのままリリース。その後、エギングやらアジングやらと2時間ほど手を変え品を変えがんばりますが、10数センチのアナハゼが釣れたほかはさっぱりでした。

するとどこからともなく黒ずくめの釣り少年が現れて、「釣れました~?」と話しかけてきました。彼は堤防のあちこちをルアーで探りつつ、あっという間に25センチクラスの丸々と太ったアラカブ(カサゴ)を釣り上げて戻ってきました。彼の言うには「狙っている魚と違う」ので、この立派なアラカブをくれにきたようです。地元中学3年生の彼はシーバス(スズキ)狙いらしく、ここには毎日のように来ているのだとか。


次に少年はダンナ河野の使っているワーム(ミミズみたいな形のソフトルアー)を見て、「これでは釣れません」とバッサリ。おもむろにその「釣れない」ワーム(左下)を取り外し、自分のバッグから別のワーム(右下)をつけ始めました。彼の言うには「これが最強のワームです」とのこと。うーむ、君ってもしかしていい奴?

魚の形をしているのでワームというより、ミノー系のソフトルアーというのでしょうか。とにかく「最強」という言葉にめっぽう弱いダンナ河野は、アラカブもらいついでにそのワームももらってしまい。そのアラカブが釣れたという、湾内かなり手前側の「港内スロー」という注意書きの書かれた場所まで、彼と一緒に戻って再びチャレンジ。


ところが朝食返上で頑張っているのに、当たりがピタリと止まってしまいました。ここは壱岐空港が近くにあって、時々長崎便の双発レシプロ機が離発着しているので、飛行機を見上げながら「釣れんなー」とぼやいていると、いったん宿に戻ったニョーボ河野がおにぎりとお茶を持ってきてくれました。そこでちょっと休憩して少年と一緒に食べましたが、おにぎりを食べる間も彼は釣竿を手放さない、あっぱれな釣師根性。その後、彼の秘蔵ポイントへ移動して3人で粘りましたが、ニョーボ河野が再びベラを釣ったところで我々二人は時間切れ。いつの間に防波堤の突端まで移動して釣り続けている少年に、「ありがとう~!」と手を振って宿に戻りました。この間6時間、釣りに夢中のあまり写真は一枚も撮っていません。

荷物をまとめて宿の入口に集合し、記念写真を撮って壱岐牧場の方々と別れました。ちなみに、いけすのイシガキダイ君は今のところ健在のようです。行きと同じようにバスで郷ノ浦港へ向かい、途中でそのバス送迎をしてくれた「あまごころ本舗」さんのお店に寄ってみると、昔のウニ漁の歴史を展示していました。昭和20年代の海女さんは何と、トップレスで潜っていたそうな。ちなみに現在、壱岐の一部地域では、海女さんがレオタードを着て漁をしているそうです。ウェットスーツだと寒さに耐えられて乱獲してしまうからだそうだけど、大変なお仕事ですねえ・・。


あまごころ本舗では、うにの製造直売をはじめ、各種海産物やお菓子類、壱岐焼酎の主要銘柄7種など、豊富なお土産品を販売していて、2階は生うに丼(季節限定)などの海の幸レストランになっています。ちなみに壱岐焼酎はスコッチやコニャック同様、世界貿易機関(WTO)により「地理的表示の産地指定」を受け、国際ブランドとして保護されています。日本では「壱岐焼酎」、「球磨焼酎」、「薩摩焼酎」、「琉球泡盛」の4種類が指定されています。さて、今回はここで友だちにお菓子などを買ったほか、自分用に「うに工場限定・磯粒うに」というビン詰めを買いました。毎晩ご飯にのせてちびちびと食べていますが、潮の香りを感じてしみじみと美味しいなあ。

港に着くと昔懐かしい、ガムの自動販売機がありました。まだ時間があるので、お昼を食べに行き、出航までは売店をうろうろします。帰りは高速船ジェットフォイルのヴィーナス号なので、行きののんびりフェリーとは正反対で、椅子に座ってシートベルトをしっかり締めます。メンバーのほとんどは爆睡モードの模様。やがてベイサイドプレイスの博多ポートタワーが見えてきたと思ったら、あっという間に博多港に到着しました。


そう、文字通りあっという間の壱岐旅行、釣りはいまいちでしたが、壱岐の豊かな自然と海の幸、山の幸を満喫できました。今回は、田口オーナーをはじめ壱岐牧場の皆様、あまごころ本舗様、トラベル会の皆様に大変お世話になり、おかげさまで、大変充実した楽しい時間を過ごすことができました。このページを借りて厚く御礼申し上げます。どうもありがとうございました!


その夜・・


今回ゲットしたアラカブ君とアナハゼ君ですが、キャッチ&料理派のダンナ河野により、ていねいにウロコとエラと内臓が取り除かれ、おいしい煮付けとなってわれらの胃袋を満たしてくれました。

おしまい
プランニングツアー

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