第11章 Burj Al Arab 〜アラブの塔(後編) 無計画旅行の常として、いざどこかを利用しようとしても「あいにく満席でして・・・」と断られるパターンがよくみられます。今回の我々の旅行もまさにその典型です。本来ならばこの日はワイルド・ワディで思い切り遊び、バージュ・アル・アラブのアッサワン・スパもしくはマディナ・ジュメイラのシックス・センシズ・スパなどで極楽気分を味わい、ミート・カンパニーでステーキでも食って、幸せに眠ろうともくろんでいたのです。ところがシーズンオフだというのにスパの予約が全く取れません。これは事前に日本から予約を入れていなかったのが敗因であると同時に、実はもう一つアラブ世界ならではの理由があったのですが、それはまた後の話。 |
◇ ベッドルーム ◇ 2階へ上ると部屋の奥はベッドルームになっており、階段のすぐ右横にはクローゼットがあってバスルームへと続いています。まずはベッドルームに入ってみます、例によって原色不可思議模様のペルシャじゅうたんの上に、クッションの置かれたソファーやテーブルが並んでいて、窓側にテレビがあります。テレビの台はミニ・バーになっていて冷蔵庫いっぱいの飲み物とグラスが並んでおり、BAAのTシャツや帽子など、有料の販売用グッズも収納されています。窓は1階と同じく天井から床までの高さがあるので、室内は明るく眺めも最高です。テレビの台のところには注意書きがあって、「窓の外側を定期的に清掃に来ますが、窓は3層のラミネート加工をしており、清掃をする者からは室内は見えません・・・」というようなことが英語とアラビア語で書いてあります。 |
さて、躯体(柱)が少々邪魔ですが、もう一度窓から外を眺めてみましょう。さっきまで滞在していたマディナ・ジュメイラのビーチやアル・カサル、ミナ・サラーム、ピアシックの桟橋などが見え、はるか沖のザ・パームはかすんでいて、この高さからだと形はよくわかりません。窓から下を見下ろすと吸い込まれそうな色の海が広がっていますが、石垣で覆われているのでここでは泳ぐことはできないようです。すぐそばにはプールがあって、色とりどりのデッキチェアとビーチパラソルが並んでいます。まだ時間が早いので、外に出ている人はまばらでした。なお、海で泳ぎたい場合は、ホテルに頼めば橋のたもとのプライベート・ビーチまで連れてってくれます。 |
ベッドはなぜか天井が鏡張り、昼はベッドカバーが掛けられてクッションが置かれています。この後出かけて戻ってきたときにはベッドメイクが終わっていて、明日のブレックファスト・メニューと小さなお菓子がそっと置かれていました。部屋の照明は1階、2階とも壁に取り付けられたスイッチにより無段階で明るさを調節でき、ホテルの室内とは思えないほど明るくすることができます。 |
◇ バスルーム ◇ 大きな化粧鏡のあるクローゼットルームはとても広々としていて、棚の中には金庫にバスローブ、部屋用のスリッパ、ビーチサンダル、ビーチバッグ、スーツを入れる袋、手提げの紙袋、タオルなどが完備されています。バスルームの中に入ると、これまた大きな洗面台があってエルメスのアメニティがずらっと並んでいます。また、赤と金のハデハデなガラス張りシャワー室は、お湯が上からだけでなくいろんな高さから噴き出してきてなかなか快適。そして、中央にはゆっくり浸かれる大きさのジャグジーがあります。 |
ジャグジーの壁には風景画が描かれています。荒々しい山を背景として、岸には近代的なビルが建ち、沖には昔ながらの砦と帆船が浮かんでいるという、何か不思議な雰囲気の絵です。 さて、お持ち帰り自由なエルメスのアメニティ、しかもミニサイズじゃなくてフルボトル。まずは円いガラス容器に入った「オー・デ・メルヴェイユ」という100ml入りコロンが、色つきびんと透明なものの2種類あります。メルヴェイユ(Merveille)はフランス語で「不思議な」とか「驚嘆すべき」という意味。ちなみに「オー」が水で「コロン」はドイツのケルンだから、オーデコロンなら「ケルンの水」ですが、「オー・デ・メルヴェイユ」だと「不思議な水」という意味になります。確かに飽きの来ない、とても甘く上品な香りがします。本来だとこれに加えて、「ロカバール」という男性用オードトワレがつくのですが、なぜか女性用のみ2人分置かれていました。それにしてもこれだけでも日本で買えばいくらすることやら・・・。 |
次に、細長い200mlのプラスチック容器に入った「レ・デ・メルヴェイユ」。「レ」はカフェ・オ・レの「レ」、つまりミルク、というわけでこれは乳液です。そしてトイレにも置かれているのが「サヴォン・デ・メルヴェイユ」、サヴォンはシャボン、すなわちこれは石けんで、箱入りのものがたくさん置いてあります。その他にもシャンプーや小袋に入った入浴剤、コームに爪ヤスリなどがあって、これらは先ほどクローゼットに入っていたBAAのロゴ入りビーチバッグやサンダルなどとともに、すべて帰国後の良いおみやげになりました。 |
部屋でしばらくくつろいでいると、今度は別なバトラーB君がやってきてお茶をいれてくれました。そういえばBAAの部屋にはお茶のセットもコーヒーのセットも置いていません。そんなものを使って自分でお茶をいれたりして、バトラー君たちの仕事を奪ってはいけません。ちなみに今度来たバトラーB君はとても物静かな青年で、彼にスパの予約が取れない窮状を相談すると、「わかりました、わたくしからも当たってみましょう・・・」と、詩の朗読のような静かな口調で答えるのでした。そして、あちこち電話してくれることになりましたが、やはり今日の今日ということで難しいようです。こうしていてもらちがあかないので、とりあえず水着を用意して、お隣のワイルド・ワディ(ウォーターパーク)へ行くことにします。BAAの宿泊客ですから、もちろん施設の利用料金は無料です。バトラー君に確認したところ、1階のカウンターでクーポン券をもらって下さいとのこと。そこへ行って部屋番号と人数を告げてクーポン券をもらうと、バギーを呼んでワイルド・ワディへ向かいました。 |
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